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なぜ、びわのはちみつは珍しいのでしょう?

topページ > みつばち図書館 > 養蜂家がびわのはちみつを嫌う理由とは?
 

びわは、養蜂家にとって都合が悪いのです。

びわのはちみつを食べたことありますか?
びわ独特のちょっとクセのある甘味ですが、結構おいしいのです。

でも、レンゲやアカシアのはちみつはよく知っていても、びわのはちみつなんてあまり聞いた
ことがないでしょう。お店で売ってるところもほとんど見かけません。
長崎県の茂木町で栽培されている「茂木びわ」は全国ブランドとして有名ですが、その長崎でも
なかなか見かけないほど、珍しいはちみつなのです。

しかし、一体なぜ、びわのはちみつはそんなに少ないのでしょう?
それは、養蜂家にとって、ちょっと都合の悪い理由があるのです。

なぜ、養蜂家はびわの採蜜を避けたいのか?

まず、なぜ、養蜂家がびわの採蜜を避けたいのかを説明する前に、養蜂業でのミツバチの一年
(関東〜九州)をざっくりと見てください。

3月:徐々に暖かくなり、ミツバチが飛び始め、女王蜂が産卵を開始する。
4月:花が咲き始め、女王蜂が活発に産卵する。健勢(ミツバチの数を増やすこと)して、
    流蜜期に間に合うように強盛群を作る。
5〜7月:流蜜期に入り、本格的に採蜜が始まる。養蜂業ではここが一番大切な季節。
8月:無蜜期になり、暑さと疲れでミツバチの数が減る。
9〜10月:越冬に向けて強盛群を作る。
11月:越冬に向けてミツバチを休ませる。
12〜2月:越冬

こんな感じです。
採蜜シーズンのミツバチは、自分の体重の40%ほどの重たい花蜜や花粉を運び、1日に巣と蜜源
を何往復もしますから、はちみつ作りはとても重労働です。
ミツバチは働けば働くほど疲れて寿命が短くなるため、採蜜シーズンのミツバチは、1〜2ヶ月
しか生きることができません。(越冬群は4〜5ヶ月生きる)

夏は、大きな蜜源がなくなり、暑い上に採蜜シーズンに働いてきたミツバチが死んでいくので、
ガクンと数が減ります。
それで、秋に再び強盛群を作り上げて、万全のコンディションで越冬に入れるように、11月は
ムリをさせずにゆっくり休ませるのです。

で、なぜ、養蜂家がびわの採蜜を嫌がるかといいますと・・
それは、びわの花が11月に咲くからです。

越冬前にミツバチを働かせることの悪影響とは?

11月は、「越冬に向けて、ミツバチを休ませてあげる。」とありますね・・。
びわのはちみつ作りをする場合、ここでミツバチをフル稼働させてしまうことになるのです。
これは、蜂群にとってかなりのダメージを蒙ることになります。

その理由は、ミツバチは、越冬時に巣箱の中で集まって蜂球(ほうきゅう)を作り、羽の付け根
の筋肉をぶるぶる震わせて熱を発生させます。
そうやって、巣箱の中を常に温かくして冬を越しているのです。

つまり、秋に強盛群をつくるのは、越冬時にミツバチの数が多いほど省エネで暖を取ることが
できますし、体力を温存した分、寿命ものびるからです。
このように、たくさんのミツバチが余力を残して越冬できれば、次の春を良いコンディションで
迎えることができるのです。

それを11月に酷使してしまうと、越冬期間中にミツバチが激減してしまい、春には見る影もない
くらいの弱群になってしまいます。
こうなっては、春の流蜜期までに健勢が間に合わず、採蜜ができなくなってしまうのです。
一番の稼ぎ時に蜂群が貧相だと、そのシーズンを棒に振ってしまうことになりかねないのです。
これでは、養蜂家が、びわのはちみつを採りたがらないのも頷けますよね。

長崎でも、びわの花粉交配は、ほとんど他の虫が行なっており、ミツバチがお手伝いするのは
ほんの少しなのだそうです。