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養蜂で使われている西洋ミツバチは主に3種類

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どのミツバチを飼えばいいの?

日本ミツバチ

日本に古来からいるミツバチは、ニホンミツバチですね。
体色がちょっと黒っぽく、西洋ミツバチに比べて一回り小さいミツバチです。
巣箱で飼っていても気に入らなければ勝手に逃げていく″逃走癖″があるのと、西洋ミツバチと
比べて、はちみつを1/5くらいしか作れないことで養蜂向きとはいえませんが、その濃厚で味
わい深いはちみつの美味しさは西洋ミツバチを凌ぐほどです。それで、ニホンミツバチを専門
に飼っている養蜂家もいます。
ニホンミツバチは蜜をたくさん取れないなら、西洋ミツバチも一緒に飼えばいいじゃないか?
と思われるかもしれませんね。しかし、西洋ミツバチといっしょに飼うと、ニホンミツバチは
貯蜜を全て奪われてしまい、逃去してしまうという欠点があるのです。
そういうことで養蜂の主流は、西洋ミツバチということになったのです。
ひとくちに西洋ミツバチといっても、養蜂業で使われているものは主に3種類あります。
それでは、そのミツバチ達を紹介しましょう!

イタリアン

イタリアン

世界中の養蜂家に一番飼われているミツバチが、イタリアンです。日本でも8割はイタリアン
系統種だといわれています。
イタリアンの故郷は、イタリアのリギュリア州で、学名にも”Apis mellifera ligustica”と
いうふうにリギュリアの名前が使われています。それで、別名をリギュリアンともいいます。
なぜイタリアンが世界中の養蜂業で一番多く飼われているかというと、とにかく優秀なのです。
はちみつを沢山作りますし、性格はまじめで大人しいですし、分蜂性もあまりないことから
養蜂向きのミツバチなのです。
しかし、イタリアンにも弱点があります。それは冬に弱く、越冬時に数が減ってしまうことと、
盗蜜癖(よそのミツバチの巣箱からはちみつを盗む )があることです。
そんな弱点を差っ引いても、養蜂をする上では優秀な品種なのです。
しかし、イタリアンが世界中で受け入れられたのは、ただ優秀というだけではありません。
こんなこと養蜂業の仕事と関係あるのかよ?と思われるかもしれませんが、イタリアンは、
とにかく色が綺麗で、見た目がとてもカワイイのです!
働き者で、しかもカワイイ・・それは世界中でウケるはずですよね。

カーニオラン

カーニオラン

カーニオランは、旧ユーゴスラビアのカーニオラ地方が故郷のためこのようによばれています。
ドイツやオーストリア辺りでは、クライナーというちょっとカッコいい名前が付いてます。
カーニオランは、西洋ミツバチの中では一番体が大きく、黒っぽい体色が特徴です。
このミツバチの優れたところは、はちみつをたくさん作ること、西洋ミツバチの中では性格が
一番おとなしいこと、寒さに強く寿命が長いこと、貯蜜の消費が少ないことが挙げられますが、
最大の欠点は「分蜂性」がとても強いことなのです。
一度、分蜂熱を起こしてしまうと手が付けられなくなるほど激しく、一枚の巣脾に数十個の
分蜂王台を作ることもあります。
「分蜂」というのは、ミツバチの数が増えて巣の中に貯蜜や産卵・育児など仕事をする場所が
なくなった時に、女王バチが仲間の半数を引き連れてどこか別の新天地を求めて飛んで行って
しまうという「お引越し」のことです。もとの巣に女王バチがいなくならないように、王台
(女王バチを育てる特別な部屋)を作り、そこに卵を産んで出て行くのです。
そこから新女王バチが誕生しますが、分蜂熱はおさまるまで第二分蜂、第三分蜂と連続して
起こるため、ミツバチの数がガタガタに減ってしまい、まともに集蜜できなくなってしまい
ます。これでは養蜂業ではなかなか使えませんね・・
しかし、カーニオランの中でも、アルパイン・カーニオランという種類は分蜂性が低いといわ
れますし、品種改良で分蜂性の低い種類も開発されています。
特にカーニオランは白い蜜蓋をする特徴があり、見た目が美しいためコムハニー(巣蜜)を専
門に作っている養蜂場で重宝されています。

コーカシアン

コーカシアン

コーカシアンは、ロシアのコーカサス地方が故郷のミツバチです。
コーカシアンの特徴は、西洋ミツバチの中でも”舌”が一番長く、蜜槽の深い植物にも対応できる
ことや、プロポリスをたくさん集めてくることです。
また、 西洋ミツバチの中でも「アメリカ腐蛆病」に一番抵抗力があることが最大の特徴です。
アメリカ腐蛆病は、感染すると幼虫がドロドロに溶けて死んでしまい、じきに蜂群が全滅して
しまうという、蜂の病気の中で最も厄介で恐ろしい病気です。感染力も高いため、この病気に
かかった蜂群は、他に感染しないように巣箱ごと焼却処分するのが一般的です。
アメリカ腐蛆病が蔓延してしまうと、養蜂場全体の蜂群が崩壊してしまう恐れがありますから、
この病気に強いというのは魅力的ですね。
欠点としては、春の産卵開始時期が遅いことと、見た目の体色があまり良くないことくらいで、
コーカシアンもとても優秀なミツバチといえるでしょう。

ミツバチの品種よりも大切なこととは?

以上3種類の西洋ミツバチでしたが、どれを飼えばいいんだろう?と迷うところですね。
しかし、例えばイタリアンの女王バチを飼ってきても純粋なイタリアンであるのは、その一代
限りになる確率が高いのです。なぜかというと、人工交配でもしない限り、次世代の女王バチ
は空中で交尾をするため、違う品種のミツバチと交配する確率がきわめて高く、生まれてくる
新世代は雑種ということになるからです。
しかし、だからといってがっかりすることはありません。
ミツバチは雑種の方が優秀なのです。つまり、集蜜力、繁殖力、分蜂性、病気耐性、性格など
養蜂業で重要なミツバチの要素は遺伝するため、品種よりも「系統」が大切になるからです。
このよい系統「良系」の作り方はまた次の機会に書きたいと思います。