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給餌でトラブルを起こさないように

topページ > みつばち図書館 > みつばちへの給餌の方法と注意点
 

一番良い給餌方法ってなんでしょう?

花の蜜がたくさんある春は、放っておいてもミツバチが食料に困ることはありませんが、
越冬明けのまだ気温が低くて流蜜が少ない時期や、夏の枯渇期には給餌が必要になります。
内検をして、貯蜜が少なくなってきたなと思ったら、早速、給餌をしなければなりません。
このように貯蜜不足を補うための給餌を「補助給餌」といいます。
また、春先で花蜜が少ない時期に蜂群に活気を与え、女王蜂の産卵を促進して産卵圏を拡大し、
健勢を図るために行う給餌を「奨励給餌」といいます。

ミツバチにとって一番良い給餌といえば、「貯蜜巣脾」を与えられることです。
貯蜜巣脾とは、春にミツバチが一生懸命に作ったはちみつ入りの巣脾のことです。
全てのはちみつを採蜜せずに残しておけば、貯蜜不足になった時に、これをそのまま巣箱の中
に差し込んでやればいいのです。 写真は、はちみつたっぷりの貯蜜巣脾です。

貯蜜巣脾

しかし、貯蜜巣脾がない場合は、砂糖を水で溶かした糖蜜を給餌しなければなりません。
使う砂糖は、使用感や経済面からみて、ザラメが一番良いです。
作り方は簡単で、ザラメと水を重量で1:1になるように混ぜて、溶かしたものを給餌器に入れて
巣箱に差し込んでやります。
給餌器とは、巣枠と同じような形をしている木でできた薄い箱で、この箱の中に糖蜜を流し込ん
でミツバチに与えるのです。

糖蜜を給餌することの弊害とは?

貯蜜が無くなって元気がないミツバチに糖蜜を給餌してやると、お腹いっぱいに吸い込んで、
途端に元気になります。しかし、吸い込んだ糖蜜は、全てがミツバチの栄養源として消化吸収
されるわけではなく、その内の8〜9割は、はちみつを作るのと同様に、ミツバチの体内にある
インべルターゼという消化酵素でブドウ糖と果糖に分解されて巣房に蓄えられます。
そして、糖度を約80%に高めるために、羽で風を送って水分を飛ばし、濃縮して完熟したらミ
ツロウでフタをして貯蜜をするわけです。

ミツバチの貯蜜は、人間でいう貯金と同じで、いざという時のために食料を貯めておこうという
ミツバチの習性は感心するものがありますが、この貯蜜つくりには大変な労力がかかるのです。
特に羽で風を送り蜜の水分を飛ばす仕事や、完熟したはちみつの入った巣房にミツロウを分泌
してフタをする仕事はミツバチにとって大変な負担になり、寿命を縮めるキッカケになると、
蜂群全体が疲弊してしまうのです。
このような理由で、給餌に一番良いとされるのは、貯蜜巣脾なのです。

給餌をおこなう時の注意点

@ 盗蜂の誘発を避けるために
特に枯渇期には、ミツバチの蜜に対する欲求は極度に高まり、蜜の匂いにものすごく敏感になっ
ています。糖液を作る場合はミツバチがいないところで作り、巣箱外へ蜜の匂いが発散するのを
できるだけ防止するように努めなければなりません。
もし、誤って蜜を地面にこぼしてしまったら、水できれいに流すか、土を上にかけて極力匂い
が出ないようにします。
そして、給餌した蜜の匂いがなるべく巣箱から漏れないようにするためと、蜜の匂いにつられて
やって来た盗蜂がなるべく巣箱に入ってこないようにするために、巣門以外の隙間を絶対に作ら
ないことです。

★ 給餌は必ず夕刻から行います。
夕方以降は、一日の仕事を終えたミツバチが巣に戻り外を飛んでいないため糖液の匂いに気付
かれにくく、盗蜂の誘発をなるべく防ぐことができるからです。

★ 給餌は強盛群から先に行います。
理由は、弱小群が盗蜂になって強盛群に挑んでも返り討ちにあいますが、強盛群が盗蜂になって
弱小群が襲われたら、ひとたまりもないからです。それで、先に強盛群を満足させた後で順次
弱小群に給餌を行い、被害が出た場合にこれを最小限に抑えることができるのです。
または強盛群だけに給餌をして、できた貯蜜巣脾の一部を弱小群にあげてもいいでしょう。
こうすることで、弱小群が疲弊してしまうのを防ぐことができるからです。

A 給餌でトラブルを起こさないように
★ 糖液を煮詰ませてはダメ!
煮詰まった糖液は、ミツバチにとって有害ですので与えてはなりません。
糖液は、お湯にザラメを入れてゆっくり溶かすように作りましょう。

★ 薄い糖液はダメ!
糖液は、ザラメ:水=1:1 で作りますが、これよりも水分が多くて薄い糖蜜だと、ミツバチが
貯蜜するのに余計負担がかかります。また、寒い時期に薄い糖蜜を与えると下痢を起こす原因に
もなります。特に越冬用の糖蜜は、ザラメ:水=2:1 の割合の濃いものを与えます。

★ 必ず木製の給餌器で行いましょう。
ガラスや陶磁器の器は、つるつる滑ってミツバチが溺れることがあるからです。
また、特に寒い時期はミツバチの動きが鈍くなるため、深いところまで蜜を吸いに行かずに済む
ように底の浅い給餌器を使うといいでしょう。
また、ミツバチが給餌器の中で溺れないように、蜜の上に小枝など足場になるようなものを浮か
せておくとよいでしょう。

以上、給餌の方法と注意点でしたが、いかがでしたでしょうか?
ミツバチにエサを与えるだけでも、細心の注意で行わなければトラブルのもとになるのです。
これらのトラブルを極力避けるために、流蜜期に欲張ってたくさんのはちみつを搾取しようと
せずに、枯渇期にミツバチのことを考えて「貯蜜巣脾」を取っておくことが、ミツバチとの
より良い関係を築くコツなのです。
それが、健康な強盛群の健勢につながり、より多くのはちみつに恵まれるという恩恵に与ること
になるのですから。