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働蜂産卵は、巣崩壊の序曲

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働蜂産卵を起こしてはならない理由とは?

巣の中で産卵できるのは、女王蜂ただ一匹です。
そのため、何かしらの事故で女王蜂がいなくなったら、巣内は大騒ぎになります。
働き蜂は、みんなで悲しそうに羽を「ザーッ・・」と震わせ、女王を呼び寄せるように、お尻の
芳香腺から匂いを出して振りまきます。いわゆる「無王騒ぎ」という現象です。

しかし、それでも女王が見つからない場合、ファミリーが滅びていくのを指をくわえて待ってい
るわけにもいきません。
働き蜂は、巣内で孵化後3日以内(正確には60時間以内)の幼虫を探し出し、その幼虫が入って
いる巣房を王台(女王蜂が育てられる特別な部屋)にリフォームします。
このリフォームして作られた王台を「変成王台」といいます。

なぜ、60時間以内かというと、その期間の幼虫はローヤルゼリーのみを与えられており、女王蜂
になれる資格があるからです。
女王蜂になる幼虫は、60時間を過ぎても一生涯ローヤルゼリーを与えられますが、働き蜂になる
幼虫は、60時間を過ぎてしまうと、はちみつや花粉がエサになるのです。
よって、この60時間が分岐点になるのです。

変成王台の幼虫が、無事に羽化して女王蜂になり、交尾に成功して産卵を始めれば一件落着とな
るわけですが、もし、この女王蜂が交尾飛行中にクモの巣に引っかかったり、鳥に食べられたり
して帰ってこなくなったらどうなるでしょう?

旧女王蜂がいなくなってから、この新女王蜂が産まれるまで2週間以上経っており、その間の
産卵はありませんので、当然60時間以内の幼虫もいるわけがありません。
卵もない、幼虫もいない、このままでは、巣が滅びてしまう・・
と、このような状況が1〜2週間続くと、なんと働き蜂が産卵をするという奇妙な現象が起きて
しまうのです。これを「働蜂産卵」といいます。

働き蜂もメスであり、お尻の毒針は産卵管が変形してできたものです。
巣がこのような状況になると、なんとか巣を守らねばという思いから、毒針が産卵管に変化して
産卵ができるようになるのです。

女王蜂は、巣脾の中心から渦を描くように規律正しく産卵していきますが、働蜂産卵はかなり
デタラメです。あっちこっちにバラバラに産卵するうえに、一つの巣房に複数の産卵がみられ
ます。でも、デタラメでも卵があるからもう安心・・と思ったら大間違い!

働き蜂は交尾をしていないので、産卵ができても、生まれてくるのは全てオスなのです。
みつばちのオスは、無精卵から生まれるという、生物学的に見てとても不思議な存在です。
しかし、いずれにしてもオスは全く仕事をせず、エサを食い散らかすだけの役立たずですから、
巣の崩壊待ったなしの状況には変わりないのです。

それなら、他で養成した女王蜂を、その巣箱に誘入すればいいじゃないか、と思うでしょう。
しかし、一度、働蜂産卵が始まってしまうと、女王蜂を誘入しても解決しないのです。

それは、産卵を始めた働き蜂が、自分が女王蜂だと思い込んでいる上に、まわりの働き蜂も
彼女を女王扱いするため、よそから女王蜂を連れてきても攻撃されて死んでしまうのです。

よって、この ”巣崩壊の序曲”、働蜂産卵は、絶対に起こしてはならないのです。
特に、女王蜂の交尾期にこのような状況になる可能性があるため、女王蜂が交尾飛行から無事に
帰ってきて産卵が確認されるまで、油断することなく点検をする必要があります。

万が一、女王蜂がいなくなったら、働蜂産卵を起こす前に成熟王台を入れるか、よそから女王蜂
を誘入して、未然に防がなくてはならないのです。