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どのようにして分蜂熱は発生するのでしょう?

topページ > みつばち図書館 > 分蜂熱が起こるキッカケと防止法
 

分蜂熱の防止法はしっかり働かせること?

4月の終わり頃から、レンゲやクローバー、そしてミカンの花が満開になると、いよいよ採蜜
シーズンの幕開けです。
養蜂家はここを目指して強盛群をつくりますが、この大流蜜期を目前にして、またはその最中
に分蜂熱を起こされてはたまりません。

分蜂熱について詳しくはコチラ → 蜂群の健勢と油断できない分蜂熱

蜂群の分蜂熱を未然に防ぐか、または軽い段階で解消しなければ、採蜜どころではなくなって
しまいます。
しかし、どういう理由で分蜂熱を起こすのか、また何を手掛かりにして分蜂熱を起こしている
と判断すればよいのかが分からないと、手の打ちようがありません。
そこで、ミツバチが分蜂熱を起こすキッカケから、解消する方法まで見てみましょう。

なぜ、分蜂熱は起きるのか?

分蜂とは、女王蜂が仲間の半分を引き連れて、よそに飛んで行ってしまうという「お引越し」
みたいなものです。
なぜ、分蜂が起こるのかというハッキリとした科学的解明はされていませんが、巣のスペース
が足りないということが、分蜂熱を起こすキッカケになっているのは間違いないようです。
巣箱の中のすべての巣房が、産卵、蜂児、貯蜜、花粉で埋め尽くされてしまうと、働きバチが
外から花蜜や花粉を採って来ても蓄える場所がないので、それ以上仕事ができなくなってしまい
ます。
働きバチなのに働けない・・これは引っ越すしかない、ということで分蜂熱を起こすキッカケに
なるのです。分蜂は、女王蜂が仲間を引き連れて出ていくイメージがありますが、主導している
のは、実は働きバチなのです。

分蜂熱を抑えるために、何をすればいいのか?

分蜂熱は、巣が足りないことで起こるので、絶えず空の巣脾を入れてやることで防止できます。
例えば、強盛群の巣脾が一杯になってきたら、蜂児枠を抜いて空の巣脾を入れてやります。
抜き取った蜂児枠は、弱小群に入れてやると若蜂が生まれて群勢が育ちますし、強盛群は絶え
ず仕事ができることで、分蜂熱の発生を抑えられるのです。

もう一つ良い方法は、巣脾を盛らせることです。巣脾を盛らせるというのは、巣箱に巣礎枠を
入れてやり、それに巣を作らせることです。

巣礎枠、巣脾について詳しくはコチラ→ 巣脾とは?

しかし、どんなタイミングで巣が足りないと判断し、巣礎枠を入れてやればいいのでしょうか?
それには、ミツロウが分泌される仕組みを知らなければなりません。

ミツバチの巣の材料は、働きバチのお腹の分泌腺から出るロウ(ミツロウ)ですが、そのロウ
の原料になっているのは、花の蜜です。
働きバチが採ってきた花の蜜は、蜜胃という器官にためて持ち帰りますが、これを蓄える巣房が
空いていなければ、どこにも吐き出せません。
すると、行き場を失った花の蜜はミツバチの体に吸収されてしまい、ミツロウとして分泌される
のです。

つまり、花の蜜採ってきた → でもそれを貯める巣穴がない → じゃあ、新しく巣を作らなきゃ
→ 花の蜜を吸収 → ミツロウ分泌・・というわけで、ミツロウというのは、蓄えることのでき
なかった花の蜜のはけ口として出てくるものなのです。

この出てきたロウが巣脾などにくっついて、白くぽつぽつ見え出すと、巣礎枠を入れてやる
タイミングなのです。このタイミングを過ぎると、働きバチは「ムダ巣」を作るようになり
ますが、このムダ巣が作られるようになると赤信号です。そして、この赤信号も無視すると、
次第に分蜂熱を帯びはじめるのです。

もし、巣箱に巣礎枠を入れるスペースがなければ、継箱をつかいましょう。
ただし、巣箱に巣脾が10枚入っているからといって、継箱にも巣礎枠をいきなり10枚入れて
はなりません。それは、働きバチの量が不足していると、たくさん巣礎枠を入れてやっても、
いっぺんに巣が作れずに負担になってしまうからです。
この場合は、上下ともに同じ数で、6枚ずつ(巣箱に巣脾6枚、継箱に巣脾4枚+巣礎枠2枚)と
いった感じで徐々に増やしていきましょう。

空の巣脾や巣礎枠を与える以外にも、分蜂熱を抑えるのに効果があるものとしては
@ 巣箱を日陰に置くこと
日陰に置いた巣箱の蜂群は、日向に置いた蜂群に比べて、分蜂熱の発生率がかなり低く、分蜂熱
を起こしても、実際に分蜂しません。分蜂は、気温の上昇とも密接な関係があるようです。

A 巣枠の間隔を広げる
10枚型巣箱の巣脾を8枚にして、巣脾と巣脾の間隔を広げると、ミツバチが快適に活動できるよ
うになり、分蜂防止に効果があるのです。

B 若い女王蜂に換える
いくら分蜂熱の発生を抑えようと気を使っても、王台ができることがあります。
もし、女王蜂が年老いている場合は、それは分蜂王台ではなく、換王王台の可能性があります。
その場合は、年老いた女王蜂を引退させて、若い女王蜂を誘入するか、出房間際の王台を与える
と解決します。

どうやって分蜂熱を解消するか?

ミツバチの世話をちょっとサボってしまった、もしかしたら分蜂熱を起こしてるかも・・
という場合、分蜂熱の兆しは「王台」というサインで判断できます。
内検をすると、巣脾に小さいお椀のよう王台が作られていることがあります。
まだこの段階では、軽い分蜂熱を起こしているに過ぎませんので、この王台を早い内に根こそぎ
取り除いて空の巣脾を入れてやります。
すると、また仕事ができる!ということで、分蜂熱が治まるのです。

しかし、もしこの小さな王台を放っておくと、だんだん大きくなり、中にたっぷりローヤルゼリ
ーが貯められる頃には、かなり進んだ分蜂熱を帯びていることになります。
この状態になると、王台を取り除いて空の巣脾を入れたくらいでは解消できません。

その場合は「振るい落とし分蜂」というロシアのタラノフという人が考案した方法で解決しま
す。やり方は、分蜂熱を帯びたミツバチを巣脾ごと巣箱の外に出し、巣箱には空の巣脾を入
れておきます。そして、巣門の前でミツバチを振るい落とすと、どういう訳かミツバチは分蜂
した気分になるようなのです。
ミツバチの「振るい落とされる=分蜂をした」という感覚の特性を利用した解決方法で、巣門か
ら中へ入って行ったミツバチは、すっかり分蜂した気になっており、分蜂熱もすっかり治まって
仕事を再開するというわけです。