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はちみつの早採りは全く価値を生みません

topページ > みつばち図書館 > はちみつの早採りがダメな2つの理由とは?
 

欲を出さないことがコツです

はちみつをいっぱい取りたいから、蜜が貯まったらすぐに回収して、またすぐに集めさせよう。
こんなことをしていると、ミツバチ達が疲れ果てて、崩壊してしまいますよ・・

いやいや、女王蜂がたくさん卵を産んで、次から次に働きバチが生まれるから大丈夫だよ!

そんなこと言ってると、マズいですね・・
早くはちみつを回収してしまうと蜂群が弱るんです。その理由を説明しましょう。

はちみつの早期回収がダメな理由その1 ミツバチを弱らせる

働きバチの仕事は分業制で、生まれてからの日齢で変わってきます。
生まれてから3日後までは巣の掃除、それから20日くらいまで幼虫の世話やはちみつ作り、
それ以降は外に出て花の蜜集め・・といったかんじですね。
でも、外で働くミツバチ(外役蜂)が集めてくるものは、花の蜜だけではありません。
花粉やプロポリス、水も集めてきます。水なんて意外な感じがしますが、水は、幼虫にはちみつ
をあげるときに食べやすくなるように少し薄めるために使ったり、夏の暑い日に、気化熱で巣内
の温度を下げるために使うのです。

いろいろ集めてきますが、働きバチが何を集めてくるかというのは、巣内の仕事のように、日齢
による分業ではなく、その時の巣の状況によって臨機応変に決まるのです。
巣の状況というのは、何かが不足すると、それを重点的にあつめる働きバチが増えるということ
です。普段は、花の蜜だけを集める働きバチがいれば、花粉だけ集める働きバチもいます。
また、どちらも一緒に集める働きバチもいます。
しかし、巣に貯蔵している花粉が少なくなったら、普段は花の蜜だけを集めている働きバチが、
花粉を集めだすといった具合です。
巣の中の若い働きバチは、日齢による分業で仕事をしていますが、何かしらのアクシデントで
外役蜂が少なくなると、緊急事態により、外に蜜を採りに行くようになるのです。
日齢による分業制とはいえ、若い働きバチも巣を守るために臨機応変に動いているのです。

つまり、巣房に蜜がためられて、まだミツブタもかけられていないうちに回収してしまうと、
みつばち達が、「あれっ!? 蜜がない・・取りに行かなきゃ!」ということになり、普段は花粉を
集めている働きバチが、花の蜜を集めはじめるのです。
そうすると、今度は花粉が不足するようになります。しかし、花粉は、女王蜂の産卵や育児を
する上で絶対に必要なものです。

なぜかというと、働きバチは、花粉を食べてローヤルゼリーを出しているからです。
女王蜂はローヤルゼリーだけを食べるため、それがないと産卵が止まってしまうのです。
また、孵化して3日目までの幼虫も、ローヤルゼリーを与えて育てられるので、育児ができなく
なってしまうのです。
そのように、花粉は巣を営む上で絶対不可欠なため、働きバチは、花の蜜を集める上に花粉も
集めなければなりません。
花の蜜を集めるだけでも大変な重労働なのに、花粉まで集めなければならないという過酷な状況
に追い込まれると、外役蜂が疲れ切ってしまい、寿命も短くなってしまいます。

すると、巣の若い働きバチが外に出なければならないというハメになりますが、でも、しかし、
幼虫の世話もしなければならないというブラック企業さながらの仕事環境を作り出してしまい、
蜂群全体が疲弊すると、崩壊へと突き進んでしまうのです。
常に巣の中に蜜が無いという環境を作って、ミツバチの仕事のバランスを崩してしまうと、この
ような悲劇をおこしてしまうのです。

はちみつの早期回収がダメな理由その2 粗悪なはちみつになる

それなら、花粉を給餌してやればいいじゃないかと思うかもしれませんが、わざわざ花粉を給餌
して粗悪なはちみつを作る位なら、もう少し待って完熟させるほうがよっぽど価値的です。
それは、完熟していないはちみつはミツブタがかけられていないため、取り除く手間がはぶけ
て楽なのですが、はちみつは水分が多く、糖度も適正な濃度まで高まっていません。
これでは温度が上がってくる夏ごろに発酵してしまいます。

特に、海外産のはちみつで、パッカー(ビン詰め業者)に安く買いたたかれたものは、大量生産
を強いられて早期に回収されたはちみつです。
これをそのままドラム缶に入れて輸出すると、発酵した場合に内圧が高まり、ドラム缶から吹き
こぼれてしまいます。
それで、そのようなことがないように、はちみつに熱を加えて水分を飛ばすのです。
熱を加えられたはちみつは、ビタミンなどの栄養素が壊れてしまう上、そのはちみつが持つ本来
の味や風味も劣化してしまうのです。

よって、はちみつの回収は、巣房にミツブタが完全にされてから行わなければならないのです。
はちみつがたくさん欲しければ、欲を出さずにじっくり待つ。それがミツバチとの良い関係を
築き、美味しいはちみつを得るためのコツなのです。