はちみつブローカー
はちみつブローカーメルマガ登録

群勢を平均させるための蜂群合同法

topページ > みつばち図書館 > 蜂群合同法で越夏管理
 

越冬のための重要な越夏管理

ミツバチが盛んに飛び回った流蜜期が終わると、暑い夏がやってきます。
夏には、ミツバチがたくさん死んでいき、女王蜂の産卵も少なくなるので、蜂群のボリュームも
ガクンと減ります。
ミツバチの寿命は、仕事量が多ければ多いほど短くなりますから、春から重労働で頑張ってきた
ミツバチがたくさん死んでゆくのです。

また、女王蜂や、孵化して3日目までの幼虫のエサになるローヤルゼリーは、花粉が原料です。
花粉を食べた働き蜂の咽頭腺からローヤルゼリーが分泌されるのですが、夏には花粉源になる
植物も少なくなるため、女王蜂の産卵も少なくなるのです。

夏が終われば秋になり、そして、ミツバチにとって最大の難関である越冬に入ります。
この越冬を万全のコンディションで迎えるためにも、越夏期の管理がとても重要になるのです。

群勢を平均する

重要な管理の一つに「群勢を平均する」ことが挙げられます。
夏とはいえ、蜜源が全く無くなるわけではないので、弱小群では採蜜に不利になります。
また、この時期に発生しやすい盗蜂から巣箱のはちみつを守るにも、弱小群では不利になる
ため、群勢を平均して同じくらいの力関係にする必要があるのです。
しかし、群勢を平均するにしても、どのような方法で平均すればよいのでしょう?

流蜜期(5〜6月)に群勢を平均するのであれば、強群から、ミツバチがとまったままの蜂児枠を
数枚、弱群に入れてやれば良いだけなので簡単です。
ミツバチは独立意識が高く、各蜂群で固有の匂い(女王蜂のフェロモン由来)で自群か他群かを
区別しているため、基本的によそ者が巣に侵入することを許しません。
しかし、花蜜がたくさん採れてミツバチの機嫌が良い流蜜期であれば、簡単によそからのミツバ
チを入れることができるのです。

ただし、有王群の女王蜂が未交尾王である場合は、たとえ流蜜期であっても直接合同は失敗に
終わるため、産卵の確認後に合同しなければなりません。

直接合同法

これが夏の枯渇期になると、よそ者を排除せよと大ゲンカになり、多くの犠牲を出すことになる
ため、群勢の平均は流蜜期(6月上旬)までに済ませておくのが得策なのです。

しかし、群勢を平均するにしても、どれくらいのボリュームで平均すればよいのでしょうか?
流蜜末期の蜂群のボリュームは、後に訪れる越冬までに半分ほどに減ってしまいますから、弱群
で平均しても仕方がありません。
それで、越夏群は最低でも巣脾10枚分(2万匹)の群勢で平均しなければならないのです。

燻煙合同法の準備

合同して蜂群の数が減ってしまうのは寂しい限りですが、思い切って合同に踏み切り、夏を乗り
越えた方が得策です。
まごまご迷っていると、越夏に失敗して取り返しのつかないことになりかねません。

流蜜期以外で、弱群同士や無王群を有王群に合同するには、下記のように準備が必要です。
まず、合同させる2つの蜂群を選びますが、強群と弱群の合同は大変難しく失敗に終わる確率が
高いため、同格(数が同じ位)の蜂群同士を選ぶのが無難です。

もし、合同させる蜂群どうしの巣箱が遠く離れていたら、巣箱をどちらか一方、もしくは両方か
ら毎日数十pずつ近づけて2つの距離を1m以内にまで近づけます。
また、3群以上ある蜂群を1つに合同する場合は、有王群の巣箱を中心に、前後左右から同じよう
に少しずつ近づけて、全てが1m以内の距離になるまで縮めます。

この操作をしなければならない理由は、ミツバチは一度自分の巣箱の位置を覚えてしまうと、
必ずそこに帰る習性があるためです。
例えば、離れた位置にある蜂群Aを、蜂群Bの巣箱に合同して平均を図ろうとしても、Aのミツ
バチは元の巣箱の場所に戻ろうとするため、Bの巣箱に定着せずに失敗に終わるのです。
また、一変に巣箱の場所を大きく動かしても、元の場所に帰ったミツバチが「あれ?私の巣が
ないよ・・」と混乱を招いてしまいます。
ミツバチは巣箱自体ではなく、巣箱があった場所を正確に覚えているため、数日かけて少しずつ
騙しながら巣箱の距離を縮めなければならないのです。

合同させる2つの巣箱が1m以内に接近できたら、有王群以外の女王蜂を排除して無王群をつくり
ます。そして、丸2日経ったところで有王群の巣箱に合同するのが一番成功率が高くなります。

しかし、もし無王群が卵や無蓋蜂児を持たない場合、また、それらを全て取り除いた場合は、
働き蜂が変成王台を作ることができずに焦りだし、よその女王蜂でも要求するようになるため、
無王状態になってから8時間後には合同の準備が整います。

巣箱が近づけられない場合

もし、合同させる蜂群同士の距離が遠くて時間がかけられない場合や、雨天続きで距離を縮める
作業ができない場合は、有王群を一つに決めて、合同する蜂群の女王蜂を夕方に排除します。
無王群にしてから丸2日経った日の夕方に、王台を全て潰して有王群に合同すると同時に、夜の
うちに2q以上離れた場所に移します。
そして、6週間以上(冬場は3か月以上)経ったところで元の養蜂場に戻し、都合のいい場所に
設置します。

なぜ、2q以上離れた場所で6週間以上経過させなければならないかというと、ミツバチの行動
範囲が巣箱から半径2qのため、2q以上離さないと元の場所に帰ってしまうためです。
元の場所に帰れない以上、新しい場所を覚えて定着しようとします。
そして、6週間以上経ったときに、元の場所の記憶が完全にリセットされるというわけです。
冬場はミツバチが外を飛ばず、元の場所の記憶がなかなかリセットできないため、3か月以上が
必要になるのです。

燻煙合同法

燻煙合同法

準備が整ったら、いよいよ合同です。
燻煙器を使って行うため「燻煙合同法」といい、ミツバチの活動が終わろうとする夕方に行ない
ます。
まず、燻煙器で有王群の巣門から煙を7〜8回入れると、中でミツバチが騒ぎ出し、しばらくする
と大人しくなります。
一説によると、煙を浴びたミツバチは、山火事と勘違いして大切なはちみつを守ろうと、お腹
いっぱいに吸い込んで機嫌が良くなり、大人しくなるのだとか・・

大人しくなったところで巣脾の間を広げて、無王群のミツバチが付いた巣脾を差し込みます。
このとき、変成王台がないかどうかよく調べて、もしあれば潰さなければなりません。
巣脾を差し込んだら、巣脾の上から全体に燻煙をしてフタをすれば合同の完了です。

合同

合同完了後は、蜂群が精神的に安定していないため刺激を与えることは禁物です。
よって、合同後3日間は巣箱のフタを開けたり、給餌してはなりません。
また、盗蜂の侵入も刺激になるため、巣門を狭めて対処します。

そして、3日以上経った晴れの日に、内検をして女王蜂の無事を確認し、全ての巣脾を調べて
王台があれば潰します。もし、女王蜂が死んでいたり、何かしらの異変があった場合は、すぐに
女王蜂を誘入するか、有王群へ合同しなければなりません。

無王群を合同するときの注意点

無王群を有王群に合同する場合、無王群の方が強群だとすると、これを一変に合同してしまうと
女王蜂が襲われる可能性があります。これを防ぐために、分割して合同しなければなりません。

例えば、有王群が5枚群で無王群が10枚群だとすると、まず無王群5枚を有王群に合同し、次の
日の夕方に残りの5枚を合同します。

また、合同は、必ず有王群の巣箱に無王群を入れることです。
それは、ミツバチには強い縄張り意識があり、自分の巣箱ではとても強気なため、有王群を
無王群の巣箱に入れてしまうと、強気な無王群が女王蜂を襲う危険があるからです。