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逃去の原因と対策

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ミツバチは、気に入らないと家出します。

逃去とは、ミツバチが巣箱から逃げて帰って来なくなることです。
日本みつばちは逃去癖が強い性質のためよく逃去しますが、逃去癖の弱い西洋ミツバチでも越夏
期から秋にかけてみられる現象です。

ミツバチが巣を出て行くので分蜂と似ていますが、分蜂ならば蜂群の半分は残るはずです。
しかし、逃去は、全てのミツバチが巣から出て行ってスッカラカンになってしまうのです。

なぜ、巣を捨てて逃げる必要があるのでしょう?
その理由は「こんなところで生活できるか!」という環境になったときにミツバチが怒って
出て行ってしまうからです。
一体、どんな条件になったときに逃去してしまうのでしょう?

理由その@ 貯蜜不足

西洋ミツバチの逃去が越夏期から秋にかけてみられるのは、蜜源が枯渇する時期と重なります。
ミツバチ達は春からせっせと働いて、はちみつを作り貯蜜しているはずですが、あまりにも
はちみつを搾取されてしまっては「こんなところで生活できるか!」と怒って出て行ってしま
うのです。

蜜源が枯渇する夏には、雄蜂は口減らしの目的で、働き蜂に巣を追い出されて殺されてしまい
ます。口減らしをしたにも拘わらず貯蜜が無くなってしまうと、働き蜂は幼虫を育てられない
と判断し、巣の外へ捨ててしまうのです。
それで、巣門の前に白いつぶつぶ(幼虫)が出始めると、いよいよ逃去するぞというサインに
なるため注意しなければなりません。
よって、夏前には貯蜜をたっぷり持たせるために、あまりはちみつを搾取しないよう気を付けま
しょう。

理由そのA ミツバチの数が減る

夏には、春から一生懸命働いてきたミツバチの寿命が尽きて死んでしまうのと、女王蜂の産卵
がストップしてしまうため、ミツバチの数がガクッと減り、弱小群になる蜂群が出てきます。
そして、この弱小群になることも逃去の原因の一つになります。

その理由は、「巣虫」や「盗蜂」の侵入を防ぐことができなくなるからです。
巣虫というのは、ハチノスツズリガという蛾の幼虫です。
ハチノスツズリガは、巣箱に侵入して産卵すると、卵から孵った幼虫は巣脾を食い荒らすため、
ミツバチは「こんなところで生活できるか!」と怒って出て行ってしまうのです。

これが強盛群であれば、巣虫を駆逐して巣の外へ追い出すので問題ないのですが、弱小群では
繁殖を許してしまうため、巣内がメチャクチャに荒らされてしまうと、産卵、育児、貯蜜ができ
なくなり生活ができなくなってしまうのです。
よって、越夏期には、弱小軍は合同して強盛群に仕立て上げて抵抗力をつけなければならないの
です。

また、盗蜂は、ミツバチが蜜源植物以外から蜜を取ることで、越夏期によく発生します。
越夏期は蜜源が枯渇するため、ミツバチは甘い匂いにとても敏感になり、よその巣箱に侵入して
はちみつを略奪します。
弱小軍が強盛群の盗蜂に狙われると対抗できず、はちみつを奪い尽くされてしまうため「こんな
ところで生活できるか!」と怒って出て行ってしまうのです。
よって、どの蜂群も合同により平均的な強盛群を作り、盗蜂から自分の巣を守れるようにしなけ
ればならないのです。

理由そのB 暑すぎる・・

暑い夏に木陰もなく、巣箱に直射日光が当り暑くなり過ぎると、ミツバチは「こんなところで
生活できるか!」と怒って出て行ってしまいます。
逃げ出さないにしても、炎天下に巣箱をさらすことはミツバチにとってかなりのダメージになる
ため、越夏を成功させたければ、必ず日陰を用意しなければなりません。
木陰があれば一番いいのですが、無ければ、すだれなどで日陰を作ってあげましょう。
そして、巣箱内の換気もできるように、巣門を広くしておくことも重要です。

また、ミツバチは外から水を運んでくると、巣箱内で蒸発させて気化熱を奪い温度を下げます。
近くに水源があればいいのですが、もし無ければ、大きな容器に水を用意してあげましょう。
その水には、ミツバチが溺れないように、足場として小枝のようなものを浮かせておきます。

涼しい環境を作ってやることは大切ですが、やってはいけないこともあります。
それは、巣脾の間隔を広げることや、換気を良くしようと金網窓を取り付けたりすることです。
巣脾と巣脾の間隔は、自距金具でできた約1pの間隔がミツバチの生活にとってベストのため、
これ以上広くするとミツバチの生活の妨げになりますし、蜂児を育てる最適な温度も保てなく
なってしまうのです。

また、暑い日は、ミツバチが水を使って巣箱内の温度を下げたり、熱風が吹いてきたら巣門を
塞ごうと集まるため、気温は巣箱内よりも外の方が高いはずです。
そこに金網窓を取り付けて、巣箱に熱風が吹き込んでしまうと本末転倒です。
換気は大切ですが、それは巣門を広げるだけで十分なのです。
また、金網窓を付けることによって、はちみつの甘い匂いが漏れて盗蜂を誘発する恐れもある
ため、金網窓は必要ないのです。

同様に、換気のために巣箱の底板をはずすことも厳禁です。
盗蜂を誘発する以外にも簡単に外敵が侵入してきますし、夜間に冷え込むと、巣箱内の最適温度
が保てなくなるからです。

以上のように、ミツバチは自分たちの生活が困難になったときに、もっと住みやすい場所を求め
て逃去します。
よって、越夏期には常に、@貯蜜を豊富に持たせること。A合同で強盛群にすること。B涼しい
環境を作ってあげること。の3点を守って逃去を防ぐことを心がけましょう。